若くて勢いある企業の特徴と成功のカギ

マーケティング本部 楠祐紀

不景気でも強い会社は2種類ある

100年に1度の経済不況といわれて久しい今日、上向き傾向になってきた業界も少なくありません。これまでも景気の波はありましたが、不況下でも強い企業は以下のような特徴があるようです。
【a】好況不況を問わず、常に堅実経営で経営者の意思決定にブレがない。
【b】将来性が高く、若い経営者が市場性の高い商品やサービスを展開している。

【a】の企業はいわゆる老舗企業に属し、事業を永続化する術を習得しています。堅実である反面、守りが強く、チャレンジ精神に難がある傾向があります。
【b】の企業は厳しい市場環境の中でも、魅力的かつ付加価値の高い商品サービスを提供しています。経営者の若さや勢い、人間性を営業力として活かし、高い収益力を持つのが特徴です。また地域社会への貢献意欲が高く、業界内での自社のポジショニング形成にも積極的と言えます。

創業期のブレークスルーは経営管理体制の整備から

【b】のような若い企業には、上述の強みがある反面、将来ビジョンの不明確さや組織システムの整備等、課題もあります。未来を担う優れた人材を定着化し、戦力化するために、若い企業こそ経営理念と経営ビジョンを分かりやすい言葉で明文化し、経営管理体制を強化する必要があります。

まずやるべき経営管理体制の整備は、人事諸制度にあります。年功序列の価値観が希薄な若手社員ほど「自分がどのようなキャリアステップを歩むのか」、「自分の実績を公正に評価してもらいたい」という思いを持っています。このニーズに対応できなければES(従業員満足度)の低下、定着率の悪化を招くことになります。

中小企業の成功のカギは何よりもまず「人」にあります。大手企業のように最初から優秀な即戦力を求めるのではなく、時間をかけて一人前の経営幹部に育てるシクミを整備し、その上で目標を必達する組織風土を醸成することが求められているのではないでしょうか。

「若い企業のマーケティングセンス」が業績を左右する

弊社では、若くて好業績な企業の経営支援や人材育成のお手伝いをする機会が増えてきました。商業コンサルティング現場の最新事例から「若い企業のマーケティングセンス」をテーマに好業績企業の特徴をご紹介します。

理論を知らなくても効果の高いマーケティングは可能

顧客創造の手段にはマーケティングがあり、巷にはさまざまなマーケティング理論があふれています。マーケティング理論は、商業経営に重要であることは間違いありません。例えば、ポジショニング戦略から4Pの展開をはかり、運営管理を進めることが基本にあります。しかし、好業績で勢いのある中小企業が必ずしもこれらに精通しているとは限りません。

※マーケティング4Pとは、Product(製品)、Price(価格)、Place(場所)、Promotion(販売促進)のことを指します。

好業績な中小企業の特徴は若さに加えて、経営者と若手スタッフが商品や売り場づくりのセンスを磨き、サービスに活かすことに最も時間とお金をかけていることがあげられます。自社のユーザーの少し上の目線で、よい意味で期待を裏切る事が求められます。

マーケティングセンスを磨く3つのポイント

センスは天賦の才とあきらめては元も子もありません。今日からできる、マーケティングセンスを磨く方法をご紹介します。

(1)業界で最も評価されている企業の商品やサービスを実際に生で体験する
(2)異業種でも良いやり方は自社に取り入れる
(3)創造力を活かし、顧客の視点で生活スタイルの革新を自ら実践する

自社の経験や既定観念に囚われてしまうことがマーケティングセンスを磨く上での大敵になります。自社の顧客やユーザーは自社の商圏でのみ購買行動をとるとは必ずしも限らず、インターネットショッピングの発展により商圏の垣根は既にないと言っても過言ではありません。厳しい環境下でも他社と一味違う企業としてポジションを確立するためには、感度の高いアンテナを常に持つことが求められているのではないでしょうか。

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